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少額管財と通常管財の違い

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2022年11月15日

1 通常管財について

通常管財とは、いわゆる「管財事件」であり、債務者の資産を破産管財人の管理処分権の下で換価し、債権者へ配当する手続です。

前提として、換価・配当できるような資産を債務者が保有していることが要件で、ない場合は同時廃止の手続きとなります。

もっとも、前述の資産がない場合でも、免責不許可事由(破産法252条1項1号乃至11号)がある等の事情で、管財事件になることもあります(※ 免責調査・観察型といわれる)。

通常管財では、破産手続き開始決定と同時に破産管財人が選任されます。

管財人には、通常、破産手続きに知識・経験のある弁護士が選任されます(事件規模に応じて複数可)。

これによって、債務者は、一部を除く財産に関する管理処分権を失い、同時に、管財人がこれを取得します。

その後の大まかな流れとしては、財産の換価、債権者集会の実施を経て、配当が実施され、管財人の任務終了、免責許可となります。

要する時間としては、比較的簡易な事件で配当を要するものについては第2回債権者集会(開始決定後6カ月)で終結、債権回収や不動産の換価に時間を要する場合については開始決定後12カ月以内に終結することが望ましいとされています。

2 少額管財について

少額管財とは、管財事件における手続の一部を簡略化・省略化したものです。

通常の管財事件に比べ、費用が少なく、時間も短く済む点が利点とされています。

少額管財の運用は、地域によって異なりますので、破産申立てを行う裁判所管内の運用をあらかじめ確認しておくことが有益です。

三重県の津地方裁判所管内では、少額管財の対象となる複数の要件が示されており、以下はその一例です。

  • ア 弁護士の代理人による破産申立てである
  • イ 訴訟が係属していない
  • ウ 否認すべき行為又はその疑いが認められない
  • エ オーバーローンにならない自己所有不動産がない
  • オ 申立て時までに事業を廃止しており、事業による新たな債務が生じない

前述の津地方裁判所管内では、開始決定から約3か月後に予定される財産状況報告集会までに管財業務がほぼ終了することを想定しています。

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