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自己破産と退職金

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年3月13日

1 退職金が支給された後に自己破産した場合

自己破産をした場合、原則として、破産者の財産は借金の返済に充てられます。

よって、退職金がすでに支給された後に自己破産した場合、退職金は他の預貯金や現金と同じ扱いを受け、借金の返済に充てられます。

もっとも、預貯金や現金のうち、一定額は借金の返済に充てず、手元に残すことができるため、退職金についても、一定額は手元に残すことができる可能性があります。

2 近日中に退職金が支払われる予定の場合

まだ支払われていない退職金は、預金や現金と違い、特別な扱いがされます。

具体的には、まだ支払われていない退職金のうち、4分の3については、手元に残すことができます。

なお、まだ支払われていない給与も、4分の3については、手元に残すことができます。

退職金や給与は、生活する上で、重要な財産と考えられているため、このような特別の扱いが認められています。

3 退職の予定がない場合

定年まであと20年あるなど、しばらく退職する予定がない場合、破産手続きの中で、退職金はどのように扱われるのでしょうか。

まず、自己破産をする場合は、原則として今ある財産は借金の返済のために使わなければなりません。

しばらく退職する予定がなくても、「今、退職したら支給される退職金」については、破産者の財産と考えられているため、借金の返済に充てるべき財産とされています。

しかし、実際には、退職金は支給されないため、少し変わったルールが適用されます。

具体的には、破産者は「今、退職したら支給される退職金」の8分の1の財産を有していると考えます。

例えば、「今、退職したら支給される退職金」が80万円の場合、破産者は、10万円の財産を有していると考えることになります。

4 自己破産をするには退職金に関する資料が必要

上記のとおり、自己破産をする場合は、「今、退職したら支給される退職金」が、いくらなのかという点が重要です。

そのため、自己破産をする場合、勤務先の会社から退職金の規定や、退職金の計算書を取得する必要がある場合もあります。

しかし、勤務先に自己破産することを知られたくないというケースも多いため、そのような場合は勤務先への伝え方を工夫する必要があるかと思います。

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