Q&A
自己破産を自分で申立てることはできるのでしょうか?
1 破産法上の定め
破産法では、破産申立てをするには代理人弁護士が必須であるとはされていません。
よって、債務者(破産者)本人(以下単に「本人」と言います)が破産申立てを行うことは、一応可能です。
もっとも、債務者本人で破産申立てを適切に行うのは相当な困難を伴います。
以下で詳述します。
2 実質的に困難な事情
破産申立てをするには、申立書のほか、陳述書、債権者一覧表、家計の状況等を作成しなければなりません。
これらの書類は、かなりの分量があるほか、平易とは言い難い内容のため、普段から破産実務に携わっていない破産しようとする本人が、適切に作成するのは至難の業でしょう。
また、破産債権者からの取引履歴・債権届のほか、所得証明書、給与明細、通帳写し、車検証写し、保険証券写し、賃貸借契約書写し等、添付資料も多数あり、本人が遺漏なく準備するのは容易でないと思われます。
困ったら裁判所に聞けばいいと考えるのは、安易な考えです。
というのも、裁判所は、法律相談には応じませんし(※ 弁護士のところに行ってと言われます)、債権者との関係でも中立的機関であるという立場上、書類の不備についても必要最小限しか教えてくれないからです。
3 管財事件となる可能性の増加
破産事件には、同時廃止と管財事件があり、後者の方が手続きに時間がかかるほか、別途管財費用を納付する必要が生じます。
本人申立ての場合、代理人弁護士が申立てをする場合に比べて、同じ内容であっても、次のような事情から管財事件となる可能性が高まります。
代理人弁護士が申立てをする場合は、代理人とはいえ、本人以外の専門家による事件の精査がなされていると評価されます。
虚偽の事実を記載した場合は、懲戒の対象になるかもしれませんので、本人に不利なことでも書かざるを得ないことがしばしばあります
これに対して、本人申立ての場合は、専門家による事件の精査がされていないほか、本人に不利なことが隠蔽されている(都合のいいことしか書かれていない)類型的な危険があることから、管財人による調査が必要と判断されやすくなります。
前述のように、管財事件の方が時間も費用もかかることから、本人が自分で頑張って破産申立てをしても管財になってしまうのであれば、頑張る意味は乏しくなります。
4 まとめ
以上のことを踏まえると、破産申立てを本人が行うのは、実質的に困難であることに加えて、割に合わない事情もあるため、代理人弁護士に依頼するのが合理的な判断と言えるでしょう。
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