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過払い金の時効について
1 過払い金は原則10年で時効になります
過払い金は、法律上は「不当利得返還請求権」という権利の一種とされています。
不当利得とは、本来得るべきでない財産を得たことを指します。
この不当利得返還請求権は10年で時効になるため、その一種である過払い金の返還請求権も10年で請求できなくなります。
2 どの時点から時効のカウントが始まるのか
⑴ 起算点
過払い金の返還請求権は、業者との取引終了時点、つまり借金の完済の時点から、時効のカウントが始まります。
例えば、7年前に借金を全額返済した場合、7年前から時効のカウントが始まっているため、あと3年で過払い金の請求権は時効になります。
⑵ 返済を続けている借金の場合
他方、現在も返済を続けている借金については、まだ取引が終了していないため、時効のカウントは始まっていないということになります。
3 民法改正による影響
⑴ 時効に関する新しい規定
時効に関する民法の規定が改正されたため、注意が必要です。
民法の改正によって、過払い金は取引の終了から10年が経過した場合に加え、過払い金の請求が可能だと知った時から5年が経過した場合も時効になります。
つまり、改正前と比べると、過払い金が請求できることを知った場合は、早く請求しないと時効になってしまう可能性が高まります。
⑵ 新しい規定の適用開始時期
新しい規定は、令和2年4月1日以降に適用されます。
つまり、令和2年4月1日以降に取引が終了した借金については、新しい民法の規定が適用されます。
他方、それ以前に取引が終了した借金については、新しい規定は適用されません。
4 借金完済後に同じ業者から借金をした場合の時効
借金を完済した後、同じ業者からまた借金をした場合、過払い金の時効は難しい問題になります。
仮に、取引の内容や、再度の借金までの期間などから、両者が一連の取引と言える場合は、再度の借金の完済時から時効がカウントされます。
他方、両者が別個の契約だと判断された場合は、時効のカウントも別個に判断されます。
そのため、両者が別個の契約だと判断された場合、最初に完済した時期からすでに10年が経過している場合は、最初の借金の過払い金は請求できないということになります。