神経症状による後遺障害と労働能力喪失期間|四日市で『交通事故』に強い弁護士

交通事故被害相談@四日市

神経症状による後遺障害と労働能力喪失期間

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年3月27日

1 後遺障害12級13号と14級9号の労働能力喪失期間

痛みやしびれといった神経症状に関する後遺障害として多くを占めるのが、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」と、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」になります。

これらは主に、外傷性頚部症候群、頚椎・腰椎捻挫といったむち打ち症に起因します。

ところで、自賠責保険における後遺障害とは、永久に残存するもの、将来的に回復困難な症状として認定されるものですが、賠償実務においては、労働能力喪失期間として、14級9号は5年間(場合によっては2~4年)、12級13号は10年間しか認められないことがほとんどです。

なぜ定年まで認定されないかについては、そのうち馴れるから、被害者が若年なので可塑性があるから、後遺障害の客観的根拠が乏しいから等といわれていますが、明確な理由は不明です。

2 定年までが労働能力喪失期間とされる事例とその特徴

14級9号や12級13号の後遺障害でも、定年まで労働能力喪失期間とされた裁判例は、多くはないものの、複数見受けられます。

それら裁判例の特徴としては、被害者の年齢が中高年以上であること、骨折や靭帯・神経損傷を伴っていること等があります。

しかし、それらの特徴を備えていても定年まで認定されなかった事例は数多くあるほか、それらの特徴に該当しなくても定年まで認定された事例もあります。

そのため、定年まで認定される要件を抽出するのは、非常に困難です。

3 自由心証主義

我が国の民事裁判では、自由心証主義が採用されています。

具体的には、当事者の主張・立証を踏まえた心証形成の方法について、用いることが出来る証拠や経験則を特に法が制限せず、裁判官の自由な選択に委ねられるということです。

ほぼ同一の事例でも、一方では定年までの期間が認定され、もう一方では5年・10年までしか認定されないのは、自由心証主義、ひいては裁判官個々の考えの相違が影響している部分もあるのではないかと指摘されています。

4 最後に

14級9号においては5年間、12級13号においては10年間しか認定されない可能性が高いことを認識しつつも、すべてがそうと決めつけられるわけではありません。

症状発生の原因、身体の状態、年齢、職業の内容、業務や日常生活への具体的影響等を総合的に検討し、相当と考えられる場合は、5年超、10年超の労働能力喪失期間を主張することも選択すべきでしょう。

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