歩車道の区別のあり・なし
1 過失割合における修正要素
歩行者が自動車と衝突した場合、事故場所が歩車道の区別のある道路か、ない道路かによって、過失割合が修正されることがあります。
歩車道の区別のない道路であることが、歩行者側の過失を5~10%軽減する要素とされていることが多いですが、歩車道の区別のある道路であったことをもって歩行者側の過失を5~10%程度増加させる要素とされていることもあります。
2 歩車道の区別のある道路・ない道路とは
歩車道の区別があるかどうかは、歩道または歩行者の通行に十分な幅員(おおむね1m以上)を有する路側帯(以下「歩道等」といいます)が設けられているか否かによって、区分されます。
歩道等がある場合が歩車道の区別のある道路で、歩道等がない場合が歩車道の区別のない道路です。
ここでいう歩道は、道路交通法2条1項2号に定義されています。
歩道に当たるか否かが争われた事例では、車両が簡単に出入りできないこと、及び、歩行者の通行の安全を確保するのに十分であることという判断基準が示されました。
この基準に照らすと、単にペイントによる塗装などによって区別されたものは、車両が簡単に出入りできる上、歩行者の通行を保護するのに十分ではないため、前記歩道には当たらないと解されます。
他方、縁石、ガードレール、柵などによって歩行者用通行区分を設けたものはもちろん、ブロックを連続して設けて区画したものも、前記歩道に該当すると考えられます。
ここでいう路側帯は、道路交通法2条3の4に定義されています。
1mで十分と言える理由については、人の肩幅が約0.5mなので、1m以上あれば歩行者のすれ違いが可能と考えられるからと解されています。
歩車道の区別のない道路では、歩行者の通行と車両の通行とが分離されておらず、歩行者と車両との共存が予定され、生活道路としての性格を有しています。
それ故、区別のある道路に比べ、区別のない道路の車両運転者には、歩行者の動静をより注意深く観察する必要があり、車両対歩行者の事故において車両運転者の過失が大きく評価される事情とされるのです。
3 弁護士にご相談ください
これまで見てきたように、歩車道の区別のある道路かない道路かを正確に判断するのは、専門性が必要となります。
歩車道の区別が問題となるケースでは、交通事故に長けた弁護士に相談するのが安心かと思います。
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