交通事故被害者の介護費用|四日市で『交通事故』に強い弁護士

交通事故被害相談@四日市

交通事故被害者の介護費用

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年3月24日

1 介護費用が問題となる場合

介護の要否については、厚生労働省が管轄する要介護認定が広く知られていますが、要介護認定を受けることと、交通事故での介護費用が認められることとはイコールではありません。

いわゆる交通事故で植物状態に陥ったときなどのように、後遺障害認定において重度の等級がつくような場合に、現在及び将来的な介護費用をどこまで認め、どのように算出するかが問題となります。

詳細については弁護士に確認していただきたいと思いますが、簡単に述べさせていただきます。

2 介護の必要性

後遺障害認定において1級(常時介護)や2級(随時介護)が認定されていれば、必要性は問題なく認められます。

3級以下であっても、被害者が日常生活で必要となる動作を自力で行うことができない場合は、個別・具体的事情に応じて、必要性ありと評価されるケースがあります。

特に、後遺障害としての高次脳機能障害が存する被害者については、身体介護の必要性が乏しくても、介護としての看視・声かけの必要性が肯定され、介護の必要性ありとされることが少なくありません。

3 介護の場所と主体

介護を行う場所については、在宅介護か、施設介護かが問題となります。

損害算定においては、在宅介護を前提とする方が一般に高額になるので、加害者側が抵抗を示すことが多いです。

在宅介護を認めてもらうには、在宅介護の蓋然性を主張・立証する必要があり、施設を退所する時期、医師の判断、被害者や近親者の意向、在宅介護に向けた準備状況、施設介護との比較等を総合考慮の上、判断されます。

在宅介護の場合は、さらに介護主体が近親者となるのか、職業付添人になるのかが問題になります。

職業付添人の方が費用が高くなるので、やはり加害者側が抵抗を示すことになります。

職業付添人を認めてもらうには、職業人介護の蓋然性を主張・立証する必要がありますが、その時点において職業人介護を行っておらず、近親者による介護が行われてきた場合は、なかなか認めてもらいにくいのが実態です。

ただ、後遺障害の内容が重度で、介護者の心身における負担が重い場合は、近親者が67歳に達した以降は、職業人介護が認められる傾向にあります。

4 損害額の算定

施設介護の場合は、実際に今使用しているか、今後使用する予定の施設における料金を基に算定します。

在宅介護の場合は、介護の内容や程度に応じて、近親者が主体であれば日額4000円~1万円が、職業人が主体であれば日額1万円~3万円が認定される傾向があります。

介護保険法に基づく介護保険の給付が見込まれる場合において、この分を控除すべきかという問題については、最大判平成5年3月24日の考えによれば、基本的に控除しないと解されます。

もっとも、このような公的扶助・公的サービスがあることを考慮して、介護費用の認定を控えめにする裁判例は複数認められます。

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