交通事故における積載品・携行品損害に関する注意点
1 積載品は大丈夫ですか?
自動車には、通常、保有者及び関係者の私物が積み込まれています(以下「積載品」と呼称します)。
また、衣服や携帯電話のように、運転者や搭乗者が身に着けているものもあります(以下「携行品」と呼称します)。
交通事故の場合、自動車そのものの損害に目がいくあまり、積載品・携行品の有無・損害の確認を失念するということがあります。
示談成立後に気づいて請求しても認められない可能性が高いことから、事故直後にそれらの有無・損害を確認することが大切です。
2 修理可能ですか?
自動車損害と同様、修理可能であれば、修理費が賠償額となります。
そのため、購入先やメーカーに修理の可否を確認したり、見積もりを作ってもらったりすることが考えられます。
もっとも、積載品・携行品は、単価が小さく、年数経過による価値低下が著しいものが多いです。
そのため、修理可能であっても、修理費が事故時の時価を上回っている場合は、経済的全損として、時価が上限となります。
3 いつ、いくらで購入しましたか?
時価を算出するにあたり、必要な要素として、品目、購入時期と購入価額あります。
一般的に、金属製の場合は耐用年数が長いため価値低下が緩やかで、そうでない布やガラス製品等は耐用年数が短いため価値低下が急であるといえます。
購入時期・価額は、領収証やネット通販の購入履歴等があれば、それらによって証明します。
残っていない場合は、当事者の記憶をたどるしかありませんが、客観性に乏しいため、最悪、立証不十分となる可能性はあります。
最近は、ネット通販等で、物の中古市場が発展してきたことから、同一品目、同じ頃の購入時期の流通価格を検索し、それをもって時価と評価することが多くなりました。
4 現物・写真は残していますか?
破損が著しかったり、全損だったりした場合は、積載品・携行品を捨ててしまうことが少なくありません。
使わない物をずっと置いておく必要はないというのは一理ありますが、どの程度の損害だったのか、そもそも破損があったのか等が争われるケースもあり、その際、現物・写真が残っていないと、証明に難儀することになります。
相手方からの賠償がなされないうちは、捨てる予定のものでも、現物、少なくとも写真を残しておくようにしましょう。