交通事故で裁判になるのはどのようなときですか?
1 裁判になるかは事件によって異なる
しばしば、タイトルのような質問をいただくことがあります。
事件ごとに裁判になる・せざるを得ない事情は微妙に異なるのですが、ここでは特に多いと思われる事情を複数あげていきたいと思います。
2 受傷の有無と治療期間が争われる場合
車両修理費が少額な事故では、この事故で怪我をしたのか否かが問題となることがあります。
怪我をしたことに争いはなくても、治療期間が問題となることがあります。
具体的には、治療期間が長過ぎる(※ 加害者側からの主張)・短過ぎる(※ 被害者側からの主張)というものです。
3 事故態様と過失割合が争われる場合
事故の態様やそれに基づく過失割合が問題となることがあります。
一時停止した・していない、ウインカーを出した・出していない、制限速度を超えていた・超えていない、赤信号だった・青信号だった等です。
なお、ドライブレコーダー映像のような客観的証拠が残っていれば、その映像と異なる事実を主張することは無理筋となるため、争う余地が少なくなります。
4 不当な減額が問題となる場合
保険会社は、裁判になっていないからという理由のみで、弁護士からの賠償提示の満額認定を拒み、減額を求めてくることが少なくありません。
そのため、満額認定を得るべく、被害者側より民事訴訟を提起することがあります。
5 後遺障害の有無・程度が争われる場合
後遺障害の有無や程度に関する双方の見解が対立し、裁判になることがあります。
交通事故の場合、一般に自賠責保険・共済が認定した後遺障害等級がベースになることがほとんどですが、絶対的な効力はないため、被害者側または保険会社側から争われることがあります。
具体的には、自賠責保険では非該当だったが14級に該当するとか、自賠責保険では12級だったが実態はそれより低い14級相当である等です。
6 加害者側から債務不存在確認請求訴訟が提起された場合
追突事故のように、過失割合が0:100の場合は、被害者側から提訴することがほとんどですが、加害者側から債務不存在確認請求訴訟を提訴することもあります。
債務不存在確認請求訴訟における主張は、事故による損害賠償債務は存在しないとか、事故後3か月を超えた損害についての賠償債務は存在しない等です。
加害者側に早く事件を終わられたいという意向がある場合に用いられることが多いように思われます。
警察官に証言してもらうことはできますか? 交通事故で人身扱いにしなかった場合はどうなりますか?