「自己破産」に関するQ&A
自己破産するとパソコンなどの財産もなくなりますか?
1 失われる財産とそうでない財産がある
自己破産すると、すべての財産を失うと考えている方が少なくありません。
以下では、タイトルのパソコンを一例に、自己破産によって失われる動産・失われない動産についてお伝えします。
2 差押禁止動産
⑴ 破産法34条3項は、民事執行法131条(同条3号は除く)を準用する形で、差押禁止動産を規定しています。
⑵ 前記の差押禁止動産は、具体的には次のようなものです。
- ア 生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
- イ 一月間の生活に必要な食料及び燃料
- ウ 仕事に欠くことができない器具・産物等
- エ 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
- オ 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
- カ 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
- キ 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
- ク 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
- ケ 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの
- コ 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物
- サ 法令によって設置しなければならない消防器具、避難器具等
3 資産価値の問題
資産価値の低い動産については、破産における個別資産として含めないという運用がなされています。
差押手続きの費用対効果に合わないことが理由だと思われます(民事執行法129条1項も参照)。
いくら以下の価値であれば含めなくてよいかは、概ね20万円以下とする場合が多いと思われます。
ただ、時価の評価は一律ではないため、思っているよりも高く評価される可能性があることに注意を要します。
4 パソコンの該当性
保有するパソコンが「仕事に欠くことができない器具」であったり、「学習に必要な器具」であったりした場合は、差押禁止動産に該当すると思われ、差し押さえられる可能性は低いと思われます。
また、パソコンの型が古く、その時価が非常に低い場合は、破産における個別資産として含める必要はありません。
ただし、財産目録には漏れなく記載しておく必要があります。
5 その他
いずれにもあたらず、パソコンが換価処分の対象となる場合、すべてが管財事件になるわけではありません。
裁判所の許可の元、申立代理人が任意に換価を行い、これを債権者に平等に按分して弁済することをもって、同時廃止を認める運用もなされているようです。
自己破産・民事再生はどこの裁判所に申し立てますか? 桑名に住んでいるのですが、債務整理について相談できますか?