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アパートローンの破綻と債務整理

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年2月21日

1 アパートローンとは

インターネットの検索サイトで「アパートローン」を検索すると、大手銀行から地方銀行まで、アパートローンの商品を紹介するページが多数、検索結果に出てきます。

アパートローンとは、アパートやマンションなどの賃貸用不動産の建築・購入・増改築・修繕等の費用に充てることを目的として、銀行等が貸し付けているものです。

賃貸用不動産の建築等の資金として貸し付けられるものですので、住宅ローンとは異なり、不動産投資の一環として位置付けることができます。

2 アパートローンの破綻

アパートローンは不動産投資であり、投資である以上、失敗することがあります。

例えば、所有する土地にアパートを建てるためにアパートローンを利用したものの、近所にもアパートができたため想定していた賃料で入居者を確保することができず、賃料から賃貸経営にかかる諸費用を控除した金額が、アパートローンの返済額を下回ることになった場合、投資資金を回収することはできなくなります。

そうなると、返済金額の不足分を他の収入源からまかなう必要が生じますが、アパートローン以外にも借入れがあるなど、返済資金を捻出することが困難な場合があります。

3 アパートローンの返済が厳しくなった場合の債務整理の手法

⑴ 他の負債についての債務整理

アパートローンの他に、例えばカードローン等の負債があるために返済が厳しくなっている場合は、そのカードローンの任意整理で対応できないか、検討します。

例えば、消費者金融への返済が毎月10万円になっているところ、これを任意整理で6万円程度に減額できればアパートローンの返済も十分返済できるという場合は、消費者金融からの借入れについて任意整理を検討することとなります。

しかし、他の債務を整理するだけでは対応できない場合、アパートローンについても整理する必要があります。

⑵ リスケジュールの交渉

アパートローンの返済が厳しくなった場合にまず検討することは、金融機関とのリスケジュールの交渉です。

アパート経営についての収支状況を金融機関の担当者に説明し、金融機関がリスケジュールに応じてくれれば、毎月の返済金額を返済可能な金額まで減額することが可能です。

しかし、金融機関がリスケジュールに応じてくれない場合や、アパート経営の収支状況が極度に悪化していてリスケジュールで対応できる範囲を超えている場合は、別の手段を検討する必要があります。

⑶ 不動産の任意売却

アパートローンで建てた賃貸用不動産には通常、そのアパートローンを担保するための抵当権が設定されますが、賃貸用不動産は債務者が居住するための建物ではありませんので、個人再生で住宅資金特別条項を利用することはできず、賃貸用不動産を残すことはできません。

つまり、リスケジュールが困難な場合は結局賃貸用不動産を手放さざるを得ないですので、賃貸用不動産の任意売却を試みることになります。

⑷ 債務整理

賃貸用不動産の任意売却に成功した場合でも、アパートローン残額より高く売れることはレアケースですので、アパートローンはいくらか残ります。

そこで、そのアパートローンの残額とそれ以外の負債について、任意整理、個人再生、自己破産の手続きを検討することになります。

どの手続きを選択するべきかについては、債務者の方の収入や財産等を考慮して判断することとなります。

任意売却ができなかった場合は、任意整理での対応は通常困難ですので、個人再生または自己破産を検討することとなります。

なお、任意売却を行わずに個人再生や自己破産を行うことも可能です。

4 アパートローンに関する債務整理を検討されている方へ

アパートローンのような収益物件に関する問題が絡む債務整理は、非常に複雑な手続きとなる可能性がありますので、一人で悩まず、弁護士への相談をおすすめします。

四日市にお住まいでアパートローンの債務整理を希望される方は、弁護士法人心 四日市法律事務所までお気軽にご相談ください。

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