給料の差押え
1 強制執行が必要な場合
100万円を支払う約束をしたにもかかわらず、期限までに支払わなかった相手方に対して、訴訟を提起し、100万円と遅延損害金等を支払うことを命じる判決を得たとします。
裁判で定められた賠償金についてはその通りに支払われることが通例ですが、それでも相手方が支払おうとしない場合もあります。
このような場合に用意されている法的手続きが強制執行です。
今回は、その中でも比較的よく用いられている給料(賞与も含みます)の差押えを取り上げたいと思います。
2 給料差押えの具体的な手続き
強制執行をするには、判決文のような債務名義以外に、判決が送達から2週間の経過をもって確定したことを証明する確定証明書、判決文が相手方に送達されたことを証明する送達証明書を、あらかじめ裁判所から発行してもらう必要があります。
書式はこちらで用意して、証明印をもらうのが一般的です。
加えて、判決文に執行文を付与してもらう必要があります。
執行文は、有効な債務名義が存在することを公証するもので、これによって執行機関が執行の実施に専念することができます。
さらに、差押先である相手方勤務先会社の全部事項証明書(いわゆる資格証明)を法務局から取り付けておくことも必要です。
これらをすべて揃えた上で、裁判所に給料差押えの申し立てを行います(その際、執行費用の納付も求められます)。
受領した裁判所は、申立書類に不備がなければ、債権差押命令を出すことになります。
この債権差押命令書は、申立人(債権者)、相手方(債務者)、相手方勤務先(第三債務者)に送達され、相手方勤務先はこれを受領した後、相手方に給料等をそのまま支払うことが禁止され、一部を申立人に支払う義務が生じます。
3 メリットとデメリット
メリットとしては、相手方が勤務する限り、勤務先から定期的に賠償金を安定的に回収できることがあげられます。
デメリットとしては、1回につき回収できる金員はさほど多くないことがあげられます。
というのも、著しく高級の場合を除き、給料から所得税・住民税・社会保険料等を差し引いた4分の3に相当する部分は差押えをすることが出来ないと規定されているからです(民事執行法152条1項)。
また、デメリットというよりは前提の問題かもしれませんが、相手方の勤務先がわからなければ使えないこと、相手方がその勤務先を退職すれば新たな勤務先をこちらで調査しなければならなくなることも考慮しておく必要があります。
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