給与の差押えを債務整理で止める
1 給与差押え
借金の支払いをすることができなくなり、滞納してしまうと、債権者に裁判や支払督促等の手続きがなされる可能性があります。
そして、裁判や支払督促等に対して適切に対応しないと、給与の差押え等の強制執行が行われてしまうことがあります。
2 給与差押えをされるとどうなるか
給与の差押えが行われると、裁判所から、勤務先と自宅宛に差押えの通知書が届きます。
つまり、給与の差押えが行われると、自動的に勤務先に借金があること、それを返済していないことが知られてしまいます。
また、給与の差押えが行われた場合、手取り収入の4分の1(手取り給料が44万円を超える場合には、33万円を超える部分)が差押えの対象となって債権者に支払われますので、収入が減少することになります。
そして、給与の差押えは借金を全額返済し終えるまで続きますので、借金の額が大きければ長期間にわたって収入が減少し続け、生活へ大きな打撃を与えてしまいます。
3 3 給与の差押えを債務整理で止める方法
⑴ まだ給与の差押えを受けていない場合
債権者から督促を受けたり裁判を起こされたりしているが、差押えには至っていない場合、任意整理を行い分割での支払い方法について各債権者と合意を結ぶことで、差押えを止めることができる場合があります。
また、自己破産や個人再生の場合でも、早めに裁判所への申立てに進み、裁判所から開始決定を得ることで差押えを止めることが可能です。
⑵ すでに給与差押えが行われている場合
すでに給与差押えが行われている場合、任意整理の交渉を持ちかけても、債権者からすれば、毎月自動的に4分の1ずつ差し押さえできる状況にあるため、わざわざ交渉に応じるメリットはありません。
したがって、分割払いの条件はかなり厳しくなりやすい傾向にあります。
同時廃止事件の自己破産や個人再生の場合、開始決定が出た時点で差押えの手続きは中止となり債権者への支払いは停止しますが、取消しではないため、この時点では給与を満額受け取ることはできません。
自己破産の場合は免責決定、個人再生の場合は認可決定確定の時点ではじめて差押えは取り消しされ、給与が満額支払われるようになります。
なお、管財事件の自己破産の場合、開始決定の時点で差押えは取消しとなり、給与が満額支払われるようになります。